んに至っては、以前いうが如く、天下の形勢に暗いから、新撰組であろうと、古強者《ふるつわもの》であろうと、そう無暗に捕って食おうとはいうまい、土方が来ようと、沖田が来ようと、こっちの知ったことじゃないという腹があるから、左様にわるびれた色はなく、とにかく今日は新撰組へ挨拶に来たわけではなく、山王様へお参りに来たのだから、早くそちらの方へ罷《まか》り出るのが至当の礼儀だと思って、お茶代も相当にはずんで、
「さあ、行きましょう、山王様へお詣《まい》りをして、さっぱりと清めていただきましょう、今日は厄日《やくび》のようだから」
 こう言って一行を促し立てた時分に、新撰組の一行十余人が、粛々《しゅくしゅく》としてこの茶店に入って来ました。
 最初見た時は、大将の一人が十余人を従えて、馬で乗りつけて来たようでしたが、今は馬をば多分その辺に乗捨てて置いて、大将も同勢と共に徒歩《かち》になって、粛々とここまで練って来ました。
「ウヘヘ、土方隊長様」
「これは、沖田先生」
「永倉先生――」
 お角以外の居合わせたものは、みな土下座をきってしまいました。
 お角は、特別に、この人たちに土下座をきらなければ
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