目に物見せて遣わさん、いざ、案内《あない》さっせい!」
 にわかに立ち上って、力足を踏み締めて、四明ヶ岳の上高く睨みつけました。
 その形相《ぎょうそう》を見ると、よたとん[#「よたとん」に傍点]が、これはいけないとさとりました。さすがに、そこは老巧で、通人のことであるから、ここで金十郎を怒らして、三人の壮士に喧嘩をしかけさせては事重大とさとりましたのと、それから、自分の腰骨がたいそう痛むので、それらを便りにいきり立つ金十郎の出足をなるべく後《おく》れしめようと企《たく》らんだものです。
 それがために、さすが勇気満々たる金十郎も、同行の先輩を振捨てて仕返しに行くというわけにもゆかず、空しく恨みを呑んで、よたとん[#「よたとん」に傍点]の介抱に当り、ついに、これを自分の背中に引っかけて、以前立小便をしていた地点あたりへ戻った時分には、もう四明ヶ岳の頂上に三人の壮士の影は見当りませんでした。
 それを知って、よたとん[#「よたとん」に傍点]先生の腰の痛みもケロリと癒《なお》り、それから二人は引返して、根本中堂《こんぽんちゅうどう》の方から、扇《おうぎ》ヶ凹《くぼ》の方を下りにかかるのは、
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