だけの胆勇ある奴はあるまい。山岡鉄太郎などをいやに賞《ほ》める奴があるが、要するに、あれは分別臭い利口者だよ、暴虎馮河《ぼうこひょうが》のできる男でもなければ、身を殺して仁を為せる男でもない。そこへ行くと、我輩はむしろ敵ながら近藤の蛮勇をとるよ。近藤や土方《ひじかた》は、討死のできる奴だが、勝や山岡を見てい給え、明哲保身とかなんとかで、うまく危ないところを切り抜けて、末始終は安全を計る輩《やから》だから見てい給え、我輩は、勝や山岡流の智勇よりは、近藤土方流の愚勇を取るよ――そうして、勝や山岡は、祖先以来禄を食《は》む幕臣だが、近藤、土方は、今いう通り幕府に養われた家の子ではないのだが、古来の坂東武者の面影は、寧《むし》ろああいうところに見る。本当に強い奴は旗本にはいない、田舎《いなか》にいる、武蔵相模の兵だけで、日本六十余州を相手として戦えると大楠公《だいなんこう》も保証している、その武蔵相模の土着の蛮勇の面影は、あの近藤、土方あたりに見られる! 幕臣は駄目だ」
南条は、自分が親しく観察して来たところを、雄弁にぶちまけると、坂本も頷いて聞いていたが、
「それは近藤自身も言っているよ、
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