、なかなかやりおる」
 坂本は、京洛の秋を見おろしながら言う。
「芹沢《せりざわ》がやられたそうですな」
と、今度は五十嵐が言う。
「うむうむ、芹沢がやっつけられて、近藤が牛耳をとっている、新撰組は、いま完全に近藤のものだ、配下の命知らずを近藤が完全に統制し得ているから、たしかに由々しい勢力だよ。ことに勤王の連中にとっては全く苦手だ、幕府を怖れず、会津を侮り、彦根を軽蔑する志士豪傑も、近藤の新撰組にばかりは一目も二目も置いて怖がるから笑止千万だ。そのくらいだから、京洛中では、それイサミがくると言えば泣く児も黙る、ああなると近藤勇もまた時代の寵児《ちょうじ》だ。あれを見ると、衰えたりといえども幕府の旗本にはまだ相当人物がいることがわかる」
と坂本竜馬が、いささか関東方を讃めにかかりますと、南条力が首を左右に振り立てました。
「いや、違う――近藤勇は、徳川の旗本ではないよ」
「どうして」
 坂本竜馬がいぶかしげに南条力を見返りますと、
「勇は徳川の旗本じゃない」
「じゃア、譜代か」
「でもない」
「では、何だ」
と二人の問答の受け渡しがありました。
「あれは徳川にとっては、旗本でもなければ
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