を引いて、どこかへ連れて行く様子ゆえ、今は与次郎もどうするという当てもなし、怪しみながら、ただ手白のするがままになって続いて行った。
山が次第に深くなって、もう大分来たと思われる頃、一つの広い岩屋に到着した。その中に枝葉がいっぱい敷いてあって、何百とも数知れぬ大猿小猿が並んでいるし、なおよく見ると洞穴の真中辺に、岩で囲んだ井戸のようなものがあって、湯気がポッポと立っている。
与次郎は、びっくりして見ていると、手白がツカツカと進んで、その井戸のようなものの中へ飛び込み、直ぐ一人の赤児を抱いて出て来た。与次郎が驚いてよく見ると、その赤児は、疾《と》うに死んだはずのおしゅんであった。
おしゅんは、やけどの傷も更に無く、前にも増して元気になっていたので、与次郎は夢かとばかり喜んで、手白の手を握って厚く礼を言うと、手白も与次郎の手を舐《な》めずって、さも嬉しそうな顔をする。与次郎は衣の端を裂き、それにおしゅんをクルんでヒトコへ入れて喜び勇んで山を下った。
何百とも数知れぬ猿共は、手白を先頭に、麓《ふもと》の村が見える所まで与次郎を送って来てくれたが、いよいよ別れる時になると、さすがに手白
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