ホヤホヤと烟の立つ肉をつつきながら、例の士分の方のが言いました、
「いったい、その金はどういう性質の金なのだ」
と駄目を押すと、大商人らしいのが、
「それは、御説明申し上げないでも、御安心してお使い下すっておさしつかえございませんが、ここで申し上げても、土佐までは聞えまいと存じますから」
と答えました。秘密ではあるが、ここで言ったことが土佐までは聞えまい、土佐という地名を神尾が危うく聞き留めて、ははあ、しからばこの二人は土佐にゆかりがあるのだ、土佐は山内《やまのうち》だ、山内の当主は容堂といって、なかなかどうらく[#「どうらく」に傍点]大名だそうだが、なあに、大名であろうと何であろうと、田舎者《いなかもの》は田舎者だ、遊び方が泥臭い――というような冷嘲気分が、この場合の神尾の腹の中で頭をもたげたのですが、何しても今の使用御勝手の七万両のいきさつだけは聞洩らしができない。なにも自分の懐ろをあたためる金でないことはわかりきっているが、自分のふところが冷えているからといって、温かい話が毒になるというわけではない。そうすると大商人が、その金の所在の内容をすらすらと打明けにかかりました。
「御承
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