のばかりではなく、日本人でもずいぶん鼻持ちのならぬ奴が現われるかも知れませんが、そこは見学のことでございますから御辛抱あそばせ。そうして着席いたしますとな、まずここへスップというやつが現われます、食事でございますよ、本邦で申しますとお吸物なんでげすな、そのお吸物が現われました時、このお玉杓子の大ぶりなやつで、こういうふうに召上ります、お玉杓子の大ぶりなのを、こちらからこう向うの方へすく[#「すく」に傍点]うようにして、音をたてずに戴きますんでな」
 金公が小さな声で洋食の食べ方を伝授している時、一方の扉があいて、ドヤドヤと異種異様な人間がこの室へ入り込んで来ました。本来、他人の食事をしている部屋へ、挨拶なしにどやどやと入り込むということが礼に欠けていると思うのに、ドヤドヤと入り込んだ奴は先客の神尾主従に一言のあいさつも無く、それぞれ椅子へ腰かけて、いい気ですまし込んでいる。
 そこで神尾は、この食堂が自分一人をもてなすための食堂でなく、また自分一人で買い切ったものでないということをよく知りました。
 そうなってみると、またそういう心持ともなり、同時にまた、ここへ入り込んだ者共の何者であ
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