いぎょう》の人と同様の道に出でないということはありません。
かくてお銀様は一人、宵の胆吹の裾野を西に向って行く。西の空に新月が現われるのを認めます。琵琶湖の対岸の山々、雪は白し比良ヶ岳の一角から、法燈の明るい比叡の山あたりの連脈と見ておけばよろしい、その上の空へ繊々《せんせん》たる新月がかかりました。西へ向って行く限り、眼が明らかである限り、前途の山川草木の大観をすべて犠牲にしても、この新月一つを見ないで進むというわけにはゆきはすまい。お銀様は当然、新月の光をその額に受けつつ、西へ向って、そぞろに歩み行くのであります。
およそ月を愛する人で、新月を愛さないものはありますまい。名は新月というけれども、実は新月ではないのです。月の齢《よわい》を数える場合には、満月を処女として、それから逆算して、いわゆる「新月」をたけたりとしなければなりません。女で言えば、満月にむしろ娘としての花やかさがあって、新月に凄い年増《としま》の美がある。さればこそ里の子供らも満月を見ると思わずそれに呼びかけて、
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お月様いくつ
十三七つ
まだ年は若いな――
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と、
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