いますわ」
「違《ちげ》えねえ、こいつは一本参った」
道庵は仰山に右の掌で額を叩いてから、
「将来のために言って聞かせてあげることが、現在に混線しちゃったんだ、これというもみんなためを思って言うことだから、悪くとらずに聞いておくんなさいよ、エロで言うわけじゃねえんだから……」
と、道庵はしきりに言いわけをしてから、
「それから、良い子を上手に産もうとするには、右の灸点を受けてから、身体の持扱いだね、身体をゆったりとして置くことだね、よく坊さんがそれ、禅というのをするだろう、あれだね、あの形で正しくゆるやかに――といっても結跏《けっか》といって、足をあんなに組むには及ばねえ。そうしてるんだね……」
「先生、わたくしは、子供を産むということに就いて、日頃一つ考えさせられていることがあるのですけれど、きいて下さいますか」
お雪ちゃん、なぜかこんどは自分から積極的に突込んで、道庵先生に向って、日頃の疑問を晴らそうと試むる態度に出たものですから、道庵も乗り気になって、
「うむ、何でも質問してごらん、聞くは末代の恥、聞かぬは一時《いっとき》の恥ということもある、何でも、先輩に向って遠慮なく物を
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