よ京大阪も目と鼻の間ということになってみると、心がなんとなくはずんで、いでたちがけばけばしくなるのは、勢いやむを得ないことであります。
 見れば、お角さんの買い切った一ぱいの舟には幔幕《まんまく》が張り立てられ、毛氈《もうせん》がしかれて、そこへゾロゾロと芸子、舞子、たいこ末社様なものが繰込んで来るのです。
 そうして、舟宿がペコペコと頭を下げる中を、おともの若い者二人を具して、お角さんが大様《おおよう》に乗込んで来ました。
 そうすると、げい子や舞子、たいこ末社連がよく聞きとれない言葉で、ペチャクチャとお追従《ついしょう》を言って取巻いて、下へも置かずお角さんを舟の正座に安置する。
 左右へ、若い衆や庄公が着いて、舞子や、たいこ末社が居流れる。
 そしてまた舟の中へ、酒よ、肴《さかな》よ、会席よ、といったものが持運ばれて、出舟までの準備さえ相当の手間が取れるのです。
 お角さんの気象がおのずからはずんで、京大阪への手前、多少とも江戸ッ子は江戸ッ子らしく振舞ってみせなければ、後の外聞にもなるといったような、お角さん相当の負けない気で、この際、自分が江戸ッ子を代表してでもいるような気位に
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