へ深夜の祈りに出かけた悪女――には、出逢うところのほどの人がみな倒れて死んだように、相当の被害が無くては納まらないほどの事態なのだが、幸いにこの奇怪な現象は、誰の眼にも触るることなしに、ある時間を限っての後、消滅してしまいました。
が、奇怪な現象が消滅すると共に、物影そのものの姿も、尋常一様の漂浪者の姿となって残されたが、それがやがて松柏の林の中へと、暫くは身を没して現われることがありませんでした。
しかし、また、いくばくもなくして、同じような身を登山表参道へ現わしたところを見ても、この人の四肢五体が全く無事であったことがわかり、同時にあの青い火の光というものが、決して人をそこなう力のある気体ではなかったということが、充分に証明されるのです。
してみれば、あれはいったい何のいたずらか。山に通なる人は言う、胆吹の山には、他の山に見られない幾多の怪現象が起る――本来、胆吹のように山が独立していると、天象の変化は、他の連脈的アルプス地帯に於けるよりも一層|著《いちじる》しいものがある。例えばこの胆吹の如きは、日本本土の中央山脈とは相当の距《へだ》たりがあり、伊勢路から太平洋を前にして、
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