点]!」
 おそらくこれが悪罵の頂上でしょう、馬鹿と言い、畜生と言い、阿魔と言い、いずれにしても人に快感を与えるものではない、他を辱《はずか》しめると共に、自らを辱しめずには置かない非紳士的の悪態ではあるけれども、それは尋常人も、どうかすると沸騰的に使用することもあるが、かってえ坊[#「かってえ坊」に傍点]に至っては――もう頂上であり、極度であって、折助、夜鷹の類《たぐい》といえども、滅多に口にすることを恥づる冒涜《ぼうとく》の言を、米友が弄《ろう》しました。弄したのではない、この際の、彼としての憎悪《ぞうお》と、忌避と、憤怒とを最大級に表現する言葉としては、これよりほかに見出せなかったのでしょう。
 そうして、ぐっと炉辺に仁王立ちになって、杖槍を八相《はっそう》の形に構えました。その形相《ぎょうそう》、米友のことだから、仁王立ちとはいうものの寸が足りない。今し、また燃えさかった炉火で見ると、赤々と照らされた黒光りの肌と、忿怒《ふんぬ》の形相、それは宮本武蔵が刻んだという肥後の国、岩戸山霊巌洞の不動そっくりの形です。

         三十四

 室内はこうも張りきった怒罵、悪言の真
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