「では、改めて、わたし、はっきりと第二のお頼みを――いいえ、お頼みではない、命令の形式で、友さんに申し渡します」
「ちぇッ」
「否とは言わせません」
「ちぇッ」
「まあ、そんなに意気張らなくてもいいわ、もう好意ある黙諾を受けていることを、かりに形式で申し渡すだけなんだから」
「ちぇッ」
「ねえ、友さん」
「何だ」
「お前、今晩、ここで、わたしと一緒に寝ない?」
「エッ」
宇治山田の米友が、この時ばかりは、飛丸に胸を打貫《うちぬ》かれたように絶叫しました。
三十三
「もう聞きません、女から男への頼み、主から家来への命令、この二つの掟《おきて》を破れるものなら破ってごらん」
とお銀様は、灼熱《しゃくねつ》の鏝《こて》を米友に向ってグイグイと押当てる。
「ばかにするない」
坐りながら、米友がタジタジと座をさがって行きました。
「どっちから行っても許しません。それよりも、友さん、お前は今晩、ここで、わたしと一緒に寝て悪いという証拠があるのですか」
「ばかにするない」
「ばかにするどころですか、わたしは、今晩に限って友さんが可愛くてたまらないのよ、ねえ、怒らないで考えて
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