今一刃ヲ加フ、但シ刃長ケレバ則《すなは》チ棒頭力無シ、他ノ棒ヲ圧スルコト能《あた》ハズ、只二寸ヲ可トス、形|鴨嘴《あふし》ノ如シ。打スレバ則チ棒ヨリモ利アリ、刺ストキハ則チ刃ヨリモ利アリ、両《ふたつ》ナガラ相済《あひすく》フ、一名ヲ棍《こん》ト曰《い》フ、南方ノ語也、一名ヲ白棒ト曰フ、北方ノ説也。
孟子|曰《いは》ク、梃《てい》ヲ執ツテ以テ秦楚《しんそ》ノ堅甲利兵ヲ撻《たつ》スベシ……」
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 米友としては、前人の型を追わない如く、前人の説を知らないのだから、独得の武器そのものも、暗合はあるかも知れないが、模倣は断じてない。
 さればこそ、この自己陶酔によって示すところの型のうちに「大当《だいとう》」の勢いが現われようとも、「斉眉殺《せいびさつ》」の型が転がり出そうとも、「滴水」が「直符」に変化し、咄嗟《とっさ》に「走馬回頭」の勢いに転じようとも、進んでは「鉄牛入石」の型が現われ、退いては「竜争珠《りょうそうじゅ》」の曲に遊び、或いは「鉄門※[#「金+俊のつくり」、306−14]《てつもんせん》」となり、或いは「順勢打」となり「盤山托」となる。一肌一容《いっき
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