って、容易ならぬ事態に陥ったという風聞《うわさ》がここまで聞えたものだから、それでお銀様が心もとながって、そうして拙者に、友造君を迎えながら様子を見て来てくれと言われたものだから、早速単身で斥候《ものみ》に出かけてみたが、いや、事態は全く重大で、うっかり近づけない、そこで、ともかく近寄れる距離に近づいて、探れるだけの事情を探訪して、ようやくいま引返して来たところなんだがな、とりあえずここへ駈けつけて、外で様子をうかがっていると、友造君が無事に立戻ったことの確かなのを知り、ホッと安心したというわけなんです」
「ははあ、そうか、それでわかった、誰か外に人がいるようだとそうは思っていたよ」
と米友は、何か思い当るところあるものの如く、ひとり合点《がてん》の声を立てると、関守氏は、
「そういうわけだから、まだお銀様にも復命していないのです、一刻も早くお館の方へ行って、お銀様にその事情を話して、明朝になってまたとって返して、こちらへやって来て委細をお話し申しましょう」
と言って関守氏は、立てともしにして置いた提灯《ちょうちん》を取り上げて、また同じ口から閾《しきい》を跨《また》いだが、一休宗純《
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