んだ、あの娘の継母《ままはは》という人が、自分の子に家をとらせてえがために、あのお嬢様を焼き殺そうとしたというのが、あの娘の呪いと、憎しみと、復讐のもとなんだ――もう今となっては、誰が何と言ったって、どうにも手がつけられねえ」
「ですけれども、なかなか親切で、大腹中《だいふくちゅう》で、そうして物わかりがよくて、どこといって……」
「それだそれだ、お気に入りさえすりゃあ、どこまでもよくしてくれるし、悪い段になると、人を取殺さずにゃ置かねえ。で、みんな腫物《はれもの》のように、おっかながっているが、おいらなんぞは、ちっとも怖《こわ》いと思わねえ」
「え、え、米友さんは、あのお嬢様のお気に入りのようですね、米友さんに限って、あのお嬢様の前でポンポン言っても、ちっとも気におかけなさらないようですけれど、ほかの者はみんなピリピリしているようです」
「なにも、おいらは気に入られようと思って、おべッかを使ってるわけじゃねえんだが、みんなお嬢様、お嬢様って鬼か蛇《じゃ》ででもあるように、おっかなびっくりしているのが、おかしくってたまらねえや――」
と、米友が得意になって、少しくせせら笑いの気持です。
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