の子供さんたちと同じようにして、御仏像をおきざみになりながらのお説教をお聞き致しました、その時に書いて下さったお歌がこの通りでございます――
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木喰の袈裟《けさ》も衣もむしろごも
着たり敷いたり寝たり起きたり
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それからまたあなた様が前世でおきざみになった生塚《しょうづか》の婆さんのお木像がわたしの家にございます。全く今あなた様が地蔵様をきざんでおいでなさるところ、こうして村の子供たちを集めて有難い話を聞かせておいでなさるところ、もうどこからどこまで木喰上人様にそっくりでございます。わたくしもここにいる頑是《がんぜ》ない子供衆と同じ年頃でございました、永寿庵という村のお寺で、ちょうどこれと同じようにして上人さまの有難いお話を聞かせていただきました、そのお声までが、そっくりそのままでございます。それから木喰《もくじき》上人様が、日本廻国をなさって八十八歳の時、また一度村へお帰りになりました時もお目にかかりました。先の世でもお目にかかり、またこの世でもお目にかかる、何という有難いことでございましょう、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」
と言って与
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