入っている。その四分目ほどは、先日、お絹から振舞われた覚えがある。その残りの部分をお絹から壜を取り上げられて、「もう、いけません、お預けですよ、このお酒は強いから、毎日、このくらいずつ、わたしがくぎって飲ませて上げます」と蔵《しま》いこまれたのを覚えている。それを主膳は覚えているから、これだと思って、栓をとって、グッと飲み出したのですが、その時に、さすがの主膳も、一時《いっとき》、
「カッ!」
と口と咽喉《のど》を鳴らして、飲んだ分を一時に吐《は》き出し、壜をおっぽり出そうとしたほどに、酒の強烈な力におそれました。強い酒とは知っていたが、これほど強いものだとは思わなかった。
しかし、いくら強くても酒は酒に相違ない。毒物でないということは、主膳の経験に於ても、強いながら口当りにもわかるものですから、二口目はやや注意して、そろりそろりと飲みました。
そうして、この何というかわからない強烈な酒の残り六分ほどを主膳が、そろりそろりと忽《たちま》ち飲みつくしてしまうと、眼がクラクラとしました。クラクラとしたけれども、毒に当ったのではない、やっぱり酔心地に相違ない。瞑眩《めいげん》のうちに陶酔
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