信を持ち得るようになっているし、問題はただ大砲だけのものだが、あれは有ってもよし、無くてもよい。むしろ自分たちの理想のためには無い方がいいようなものだが、それでも万一の備えと工夫していたあれも、九分通りは出来上っているが、試射と、据附けとが残されている、もう一週間もしたら、万事解決するだろう。
 乗組人員としては、さし当り自分のほかには、
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画家、田山白雲
七兵衛
お松

清澄の茂太郎
兵部の娘
支那少年|金椎《キンツイ》
マドロス
乳母
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 このほか、機関方、船大工として造船所の方に、
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松吉
九一
十蔵
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の三人が残してある。なお漁師の太造という老人とその孫が一人、行きたがっているから、それも予定のうちに加えてある。
 これで都合十五名の乗組になるが、ゆくゆく、都合次第ではこの倍数を収容する設備は充分に整っている。
 そこで、この以前から、船内の設備や、食料品の積込みはすっかり手を廻して、いずれも出帆のできるようになっているが、人事方面でただ一つの心がかりなのは田山白雲の消息です。
 香取
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