上げ]大日本剣聖国侍無双
[#地から2字上げ]金茶金十郎
[#ここから3字下げ]
右晴天十日興行
飛入勝手次第
景品沢山 福引品々
[#ここで字下げ終わり]
[#地から2字上げ]勧進元 みその浦なめ六
[#地から2字上げ]後見 壺口小羊軒入道砂翁
[#地から2字上げ]木口勘兵衛源丁馬
[#ここで罫囲み終わり]
それを読み了《おわ》った米友が、無性に大きなくしゃみ[#「くしゃみ」に傍点]を一つしてしまいました。
「笑わしやがらあ!」
いくら名古屋がオキャアセにしたところで、こんないかさまにひっかかるタワケもあるまいと思われるが、あの辻ビラのおどかしと言い、今日のこの小屋の前景気と言い、万一こんなヨタ者にも相当に名を成させて帰すかも知れねえ――
米友が例によって、持前の義憤をそろそろと起しはじめました。
このごろでは米友も大分、人間が出来て、そうむやみに腹を立てないようにもなり、また腹を立てさせようと企んで来ても、笑い飛ばしてしまうほど腹の修行も多少は出来たものの、こう露骨になってみると、自分が侮辱されたというよりは、金の鯱城下の面目のために、義憤を湧かせ来《きた》るという意気
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