ということは、確かに番狂わせでありました。
鳩の報告によって、白骨からは第二の救護隊が着いて見ると、まずこの程度の怪我ということで、ホッと安心はしてみたものの、北原君としても、久助さんとしても、まあよかったと言ってのみはおられないのは、お雪ちゃんの立場を思いやって、あの子が自分たちの身の上に、どのくらいの期待と心配を置いているかということを考えると、こうしてはおられないと思います。
といって、北原の怪我はどうしても、二三日の療養で役に立つとも思われないから、自分は当分ここで断念しなければならぬ、就いては、自分の代りに久助さんを案内に、町田君にでも行ってもらい、そうしてお雪ちゃんを再び白骨へ呼び戻すことだ、白骨でいけなければこの平湯でもよい、平湯を第二の冬籠《ふゆごも》りとして、我々の一分隊がここを占拠して、暮してみるもまた一興ではないか――こんなことに相談が纏《まと》まって、予定よりは二日も遅れて、そうして久助と町田とが飛騨の高山へ着いて見た時は、すでに前記の事態が過ぎ去って、その余雲がまだ雨風を含んで釈《と》けない時でありました。久助さんは、とりあえず相応院をたずねてみたけれども、そこでお雪ちゃんも、その他の誰をも発見することのできなかったのは無論のことです。
のみならずこの際、他国者が、この界隈にうろうろなんぞしていようものなら、フン縛られてしまうという空気を実際に看《み》て取って、こうしているのも危ないことこの上もないのを感じ、ともかくもこれは一度平湯へ引返して、改めて方法を講じなければならないことをさとり、着いた日に、また平湯へ引返すことのやむを得ない事情になってしまいました。
これはまた、町田としても、久助としても、この際、至当な態度であって、実は二人が、平湯からこの地へ無事に足を踏み込んだことでさえがむしろ幸いなくらいで、その以前、在留の人や、通りがかりの旅人で、嫌疑だけで、抑留や捕縛の憂目《うきめ》を蒙《こうむ》ったものが幾人もあるとのことです。
そこで、平湯へ帰ってみると平湯の客がまた意外に混み合ってきたのは、一つは前いうような高山の空気から、この地へ避難した客と、土地ッ子であっても目に立つことを嫌うものが、ここまで遠出をして来たというような、あぶれ気分がないでもありません。
高山の変事はここまで持ち越されて、湯の中での流言蜚語《りゅうげ
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