青い梅というところですよ」
「そうですか、そんな山の中から何しに来たの」
「少し頼まれた用事があって来ましたよ」
「何の用事を頼まれたの」
「こちらの殿様の御親類から頼まれて来たのさ」
「あんな山の中に、殿様の御親類があったのかしら」
「ええ、ありますとも、そこには御親類の可愛らしいお子さんがいますよ」
「そう、おじさん、もしかして、弁信さんはそっちへ行かないかしら」
「弁信さんて?」
「弁信さんというのは、私のいちばん仲のいいお友達よ。あの人とは、上野原で別れたっきりなんですもの。もしかしておじさんの方へ行ったら知らせて下さい、その人は琵琶を弾く盲目《めくら》の小僧さんだから、直ぐ分りますよ」
「ああ、それじゃ、もしおじさんの方へ来たら、知らせてあげよう」
「どうぞ頼みます」
そこでこんどは七兵衛が、この少年に向ってたずねてみる気になりました。
「坊ちゃん、お前の名は何ていうの」
「茂太郎――」
「茂ちゃん」
「ええ」
「あの、さっきから物置の方で大きな声で泣いていた者がありますね、あれは何ですか」
「あれはマドロスさんよ」
「マドロスさんというのは?」
「マドロスさんは、外国から
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