という盗賊に、どこやら似ているではありませんか。どこやらではない、ほんとうによく七兵衛に似ているではありませんか。
 だが、七兵衛には、親も、子も、兄弟も無かったはず。多少、縁を引いた親類でもあるかと思うて見直すと、見直せば見直すほどよく似ている。
 よく似ているはずです、これが正銘の七兵衛ですもの――
 人々は、めまぐるしいほど海道筋を飛び廻る七兵衛を知る。
 ある時は京都に、ある時は江戸に、近くはまた尾張の名古屋に根を生やそうかと言っていた裏宿の七兵衛を知る。そこで、こうして薪を取っている七兵衛の存在を疑うのも無理はありませんが、これこそ七兵衛の本色ということを、誰か知る。
 筒袖の垢染《あかじ》みた百姓着に、古い三尺をこくめいに結んで、浅黄の股引《ももひき》の膝当のついたのを丹念にはき、誰もいないところで、わき目もふらずに薪をこしらえている。これが七兵衛の本色なのです。
 あんなにめまぐるしく飛び廻っても、時間にすれば、その飛び廻っている時間は、こうして働いている三分の一にも足りますまい。善良無名なる百姓七兵衛を、こうして見ることに全くその本色がありました。
 ここで薪を取って、
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