そのものが梅にかなっているのだ、梅干は青梅在の吉野村の梅干に限る、というようなことになれば、年々、梅干の需要が殖えて、江戸はもとより、日本中へ売れるようになる」
「なるほど……」
「そうだろう――土地で食ったり、青梅あたりへ売るだけでは数の知れたものだ、これが馬に積んで、どんどん江戸まで出るようになってごろうじろ、あの山と谷をみんな梅の木にしたって、まだ足りない。そこでひとつ、お前とのり[#「のり」に傍点]になって、その梅干屋を開業してみたいのだが、どうだな、わしが金主元で、お前が製造主任、お松さんが、販売兼支配人ということになれば、この商売|外《はず》れっこなしだね。万一、損をしても、今いう通り、損をしても元だから心配をするものはないのだ。どうだ、そういうわけで、与八、お前がひとつ梅干の製造方を引受けてくれないか」
「引受ける段ではございません、方丈様のおっしゃることなら、何だって、いやとは申しませんが、梅干の製造法は、わしはまだよく知らねえですから、ひとつ、誰かに聞いて勉強してから、お引受けをした方が、たしかじゃあござんすめえか、せっかく、製造元を引受けたって、下手にやって腐らかし
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