にしたところで、三百本と見ても知れたものだ。二分なら喜んで売るだろう。そうして買ったからとて、なにも強《し》いてこっちへ引取らなくてもいいのだ、相当の地代を払って、そのまま置据えにしてもらって、そうして、実《み》はこっちで取って、それからが商売にかかるという寸法よ」
「だって方丈様、土地でも、実を取って売ったところで引合わねえから、伐って桑を植えたり、桐を植えたりしたがるのでしょう、それをわざわざ大金を出して買って、置据えにしたって、いよいよ割に合わないねえ」
「そこだ――そこが商売の秘伝《こつ》なのだ与八、いいかえ、さっきも言う通り、土地の人は、そんな特別の梅を持っていながら、その味がわからないのだから、まずその味をわからせるようにするのだ、土地の人にわからせるようにするのじゃない、世間一般に向って、吉野の梅は旨《うま》い、天下一品だ――ということを知らせるようにすると、買い手が多くなる、買い手が多くなって、なるほどこいつは能書通りうまいわいということになると……名物にうまい物無しというが、この吉野村の梅ばかりは格別だ、あの辺は俗に青梅在といって、梅を名乗っているのは、なるほど、地味
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