いちゃわかりませんね」
「そうだ、他と比較してみなくちゃ、すべて物のねうちというのはわからない」
「そんなどころじゃございません、この土地では、梅の木を邪魔にして、伐《き》り払ってしまう家が多いようですね」
「それだ、わしも時々、出かけて見ると、あの枝ぶりの面白い老梅の樹を、むざむざと伐っているから、何にするのだと尋ねると、家が日蔭になって邪魔になるから伐って薪にすると言っていたが、さてさて、物の冥利《みょうり》を知らぬ話だと思って、つくづく意見をして来たことだがね、わしの意見もなかなかわかっちゃくれまい」
「そうですね、年々、梅の樹が減ってしまうようですね」
「名物がなくなってしまうのだ」
「惜しいことでございますね」
「惜しいことだ。すべてな、与八、物がその土地の名物とまでなるには、その土地に備わる天分というものがあって、最初にその種を蒔《ま》いた人は、よくその天分と、地味とを見分け、その後、代々容易ならん苦心が積み重なって、ようやく名物となるのだ。それを孫子に至ると、すっかり忘れてしまって、一時の目先だけで新しいものと取替える、それがやがて取返しのつかぬことになる」
「そうでござ
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