で納まっていた方が無事でございますが、納まっていられねえところにがんりき[#「がんりき」に傍点]の持って生れた病というやつがございますから、その方でたんのうを致したいと、こう考えています。金の鯱はもう満腹でございますが、実のところ、がんりき[#「がんりき」に傍点]は、そのかたかたのほうにはかつえ[#「かつえ」に傍点]きっておりますよ。先生方は先生方で、何ぞというとがんりき[#「がんりき」に傍点]を煽《おだ》ててはダシに使おうとなさるが、がんちゃん[#「がんちゃん」に傍点]の方はまたがんちゃん[#「がんちゃん」に傍点]の方で、旦那方の御用の裏を行って、いいことをしてみてえという野心があればこそでござんすな。再三申し上げる通り、金の鯱は、こうして目で見ていてさえげんなりしてしまっていますから、どうぞおしまい下さってお慈悲にひとつ、そのかたかたのほうで、がんりき[#「がんりき」に傍点]のお歯に合うところを一つ呼んでいただきたいもんで……実はお恥かしい話ながら、こう見えてもがんりき[#「がんりき」に傍点]は、江戸方面は別と致しまして、京大阪のこってりしたのにいささか食い飽きの形ですが、まだその
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