、すさまじい軽蔑の語気でいう。
「どうも御無沙汰をしちゃいましたね、親方」
 米友が神妙に詫《わ》びる。
「なんだって、こんなところに、お前、うろついてるんだい、旅に出るなら出るように、あらかじめ、わたしんところへ渡りをつければいいじゃないか、お嬢様に取入って、わたしに出し投げを食わせるなんて、たち[#「たち」に傍点]が悪いよ」
「そういうわけじゃねえんだ、途中でなあ、つい、話合いになっちまったんだよ」
「まあ、いいから早く足をお洗い、友なら友のように、はじめっからそう言ってくれれば、こんなにあわてやしないよ」
 見ていた宿の者が、お嬢様という人に対するのと、この従者に対するのとで、お角さんという人の言葉の当りさわりが、こうも違うものかと驚きました。
 お嬢様がいなくなったというので、今まで、騒がせられたのは容易なものでない。それほど騒がせておいて、帰ってみれば一言の申しわけもなく、打通る大風にも驚かせられましたが、あれほど焦《じ》れて、ポンポン啖呵《たんか》をきっていた親方の女が、当人が現われてみると小言一つ言わず、腫物《はれもの》にでもさわるように御機嫌を取るのを見て、かえって歯痒
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