ますから、お角がそのところに立ち塞がりました。
「ホ、ホ、ホ、たいそうよいお機嫌でいらっしゃいますね、でもお足許がおあぶのうございますよ」
 こういった気合に、二人の生酔いの悪ざむらいがちょっと気を呑まれた形でした。
 その途端に、連れて来た、六さんといって喧嘩上手で聞えた兄《あに》いが、ちょっと江戸前の喧嘩っ早い息を見せたのが、近郷近在連とは手ごたえが違ったと見たのかも知れません、何ということなしに機先を制せられて、そのまま、二人の生酔いの悪ざむらいは、鋒先《ほこさき》をそらして、ずっと前へ進んでしまいました。
 つむじ風をやり過ごして、足並みを立て直したお銀様とお角の一行――
「飛んだ金十郎だよ」
とお角が、軽蔑の冷笑を後ろから浴びせているにもかかわらず、二人の生酔いの若ざむらいは、なお行く手の見物人に存分悪ふざけを試みながら行くのを見て、この分で、相撲小屋へつくまで、また場内へ入ってから後に間違いがなければいいが――と気を揉んだのはお角さんばかりではありません。同じ金十郎にしても、アクドい。
 間違いがなければいいが――
 果して……まだそれとは言えないが、一町程の先手《さきて》
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