路の必要から、男装して来たものが、ここではその必要を解いて、本来の姿を見せているものと見られる。
ここ、白骨に冬籠りをやっている自称お神楽師連が、必ずしも自称お神楽師でないことを知る者は、これをたずねて、女の身で大胆にも、冒険にも、ここまでひとり旅をして来た名古屋の紅売りなるものが、単純な紅売りでないということもあたりまえです。
それはこの一座の誰|憚《はばか》ることなき談論を聞いていれば、ほぼわかることで、世間ですれば四方《あたり》を憚る秘密会議も、このところで、こうして水入らずにやれば、誰に遠慮もいらぬこと。
その、遠慮の入用のない秘密会議の雑話と、熟議と、談論とを混合してみると、さすがにこれは炉辺閑話とは全く趣を異にしています。京阪、或いは関東の要所に於て、二三人集まって、こんな事を口走れば、忽《たちま》ち身辺に危害が飛ぶ。それをここでは、つまり露骨に、陰謀が評議されているのです。さすがに陰謀の要点に触れると、声は多少低くなりますが、それに附随して議論を闘わすという段になると、意気軒昂として、火花を散らすの勢いです。
この秘密会議の内容を綜合してみると、飛騨の高山と、尾張
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