いでになるのかも知れません。近いうちに、弁信さんがここへ来るような気がしてなりませんもの――
それは全く空想に違いありません。いくらなんだって、この交通の杜絶《とぜつ》している白骨の奥へ、土地の案内者か、冒険者なら格別、弁信さんみたような、きゃしゃな人が、来られようとは思いませんが、日々日々《にちにちにちにち》に、そんな心持がして、これを書いている一行毎に、弁信さんの姿が、わたしに近づいて来る心持を、どうすることもできません。
事実としては、そんなことはあろうはずはありませんけれど、もし、万に一つ、そんなことがあり得るとしたら、弁信さん、あなた一人だけでなく、茂ちゃんも連れて来て下さい。
それは来るなといっても、あの子は弁信さんについて来るにきまっているでしょうが、忘れないで下さい――
茂ちゃんも、弁信さんの傍へ置かないとあぶなくてなりません――」
[#ここで字下げ終わり]

         四十六

 お雪が、ひとりこうして月夜の大観に酔うている時、宿の軒下から、一つの提灯《ちょうちん》が、さまよい出したのを見て、ぞっとしました。
 時は、この通りの月夜ですから、ちょっと、そこらへ
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