「一枚描いて下さらんか」
「御希望なら、描いて上げてもいいです」
「なんでしたら、わしの屋敷へおいで下さらんか」
「おたずねしてもよいが、どちらですか」
「相馬です」
「相馬――相馬中村ですか」
「そうです、これから、北へと測量して行って相馬へ行くのですが、相馬で仕事が終るわけではありません、屋敷は相馬にあるけれど、相馬を通り越して、もっと遠くまで行くのですよ」
「ははあ、家門を過ぐるとも入らず、というわけですね」
「いいえ、家門を過ぎれば立寄って、妻子をよろこばせます。どうでござるか、先生、相馬はさまで遠くないところですから、我々と同行して下さるまいか」
「ははあ、それは至極、都合のよい話のようですが、遠くないといっても相馬ですから、どのくらいの里数と時間とを要しますか」
「左様――おおよそ五十五里――まず六十里足らずと思えばようござる、日に十里ずつの旅をしてかれこれ五日」
 測量師の言うことだから間違いはあるまい。それを聞くと、白雲も少し考えて、
「この海岸を、北へ北へと行くんですな。途中見るところがありますか、いい景色がありますか、名物といったようなものが……」
「左様――海岸
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