自分ながらはや全くお気の毒みたような、甘い了見でございました」
「どうしてな」
「まあ、早い話が、あの千枚分銅の一枚が、かりにどこかに残されてあると致しまして、殿様、その一枚の目方が、おおよそどのくらいあると思召《おぼしめ》します」
「左様――なるほど、形はよく知っている、それに『行軍守城用、勿作尋常費』と刻印があることも聞いている、大きさもおおよそのところはわかっているが、目方はどのくらいあるかなあ、それはちょっと聞き洩《も》らしたよ」
「七兵衛も、そこに抜かりがございました。御宝蔵へ忍び込み、まんまとちょろまかして、小脇にかいこみ、さて花道へかかって、四天を切って落しの、馬鹿め! と大見得を切って、片手六方で引込みの……と至極大時代のお芝居がかりで当ってみましたが、なんの、殿様、あの千枚分銅の一箇の目方が四十八貫目あると知った日には、うんざり致しました」
「ナニ、四十八貫目……それが一かたまりの金《きん》か」
「間違いございません。四十八貫目ではいくら金でも、ちょっと手に負えませんな、よしんば、盗み出したところで、張貫《はりぬき》の小道具のように片手に引っかかえるというわけには参り
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