》というものが、ちょっと見出し難いものと見えます。
そこで米友が、引きぞわずろうという気持で、躊躇をしている間に、
「あっ!」
といって、舌を捲いて躍《おど》り上りました。そのクリクリした眼を、踊り子の連鎖の一方、つまり或る一人だけに注いだ米友が、
「あっ!」
と、二たび、三たび、地団太を踏んだのは、そこに破綻を見出したのではなく、そこに特別に何か興味の中心を見出したものでなければなりません。
「あっ!」
二度、三度、叫んで、地団太踏んだ米友が、その時こそ、ほんとうに鉄砲玉のようになって、いま、自分が見つけ出した興味の中心――つまり、踊り子の中のちょうど、巽《たつみ》の方角にいた一人の若い娘の方に、無二無三に飛びかかってしまいました。
この時になって、群衆の興味が踊りの方面だけに取られてはおりませんでした。
むっくり起き上った時は、さほどではありませんでした。荷物をかつぎ上げた時も、杖槍を拾った時も、まだ見物に向ってなんらの注意をも呼ぶに足りませんでしたけれども、いよいよ立って一方を突破しようとして、小さな仁王立ちで、あたりを一睨《いちげい》した時分から、第三者としての見物の注
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