るものでもない、滝ばかりは下から仰いで見なくちゃ趣が無いようだ、ひとつこの滝壺を究《きわ》めてみようじゃないか」
「下り口が、わからない」
「ともかく、もう少し登ってみよう、必ず相当の下り口があるに相違ない」
「誰か土地の案内者を頼めばよかったなあ」
そうして三人は、滝壺へくだる道をたずねて登ると、ややあって、
「あった、あった」
丸山勇仙のけたたましい叫び。
彼は、それが滝壺へ下る路かどうかは知らないが、たしかに下へ向うべき路らしいものを発見したらしい。けれども、それが果して道だかどうだか、発見はしながら自分で疑っているらしい。
「なあんだ、路でもなんでもないじゃないか、ほんの崖くずれのあとだ」
仏頂寺弥助が、丸山の発見を冷嘲する。
丸山も一時は、発見を誇大に叫んでみたが、そう言われると、これが果して路だか、どうだか、自信の程があぶなくなる。
事実、そこは岩角が、雨あがりの崖くずれのために崩壊して、その岩壁を斜めに、ほんの足がかり、それもその気で見れば、たしかに人間の通路をなした痕跡《こんせき》があるとも見えるし、ないとも見える。丸山勇仙の最初の印象は、たしかにこれこそ人
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