られただけのものです。それで、もうたくさんなのに、兵馬さんまでが、またわたしたちと同じような道を行こうとなさる、ほんとにお気の毒に思いますわ」
「何が気の毒です」
「何でもようござんす、許してお上げなさい、そうすれば、お前さんも救われます」
「誰に、私が救われるのですか」
「白骨の温泉で死んだ、飛騨の高山の穀屋の後家さんというのを御覧なさい、あの方は、御亭主が病気で寝ているその前で、幾人の男を弄《もてあそ》んだか知れません、それをみんなあの御良人が許していましたよ」
「何です、それは。それが我々の上に、何のかかわりがあるのですか」
「それをみんな許して、おかみさんのするままをさせていましたが、あのおかみさんは、それでも満足しないで、とうとうその良い夫を殺してしまいました」
「人間ではありません、犬畜生といっても足りない者共です、そんなやからのことを、私の前で、何のためにおっしゃるのですか」
「殺された良人の方は、それでさえ、あの後家さんを許していますよ」
「だから、私の兄も、あなたの不貞を許せばよかったのだとおっしゃるのですか」
「まあ、そうかも知れません、わたしだけじゃありません、み
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