今宵がはじめてか知らん。
お浜は、兵馬に対してこれだけの受答えをすると共に、また、あちら向きになって、一心に縫物を進めています。
「嫂《ねえ》さん、あなたは無事だったのですか」
「わたしが無事だか、どうだか、この肩から胸を見れば、わかるじゃありませんか」
「私も、最初から、それを気にしているのです、痛みはなさいませんか」
「それは古傷ですから、痛むには痛みますけれども、いまさら泣いたり、愚痴を言ったりしても仕方がありませんわ」
「嫂さん、あなたは竜之助に殺されたのですね」
「ええ、そうかも知れません、けれどもね、見ようによっては、わたしがあの人を殺したのです」
「悪縁というものでしょう。しかし、憎むべきものは憎まなければなりません。嫂さん、あなたがもしも竜之助の行方を御存じならば教えて下さい」
「それは、わたしがよく知っていますけれど、まあ、わたしが、あれから附きっきりのようにつきまとっているのかも知れません。けれど、兵馬さん、お前はあの人の在所《ありか》を知って、どうなさるつもりなの」
「どうするって、嫂さん、あなたとして、あんまりそれは歯痒《はがゆ》い尋ね方ではありませんか、私の
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