2字下げ]
チュガよ
チュガよ
チュガ公よ
そらそら
そちらを行っては
あぜ道へ落っこちる
こちらをあゆびなよ
あれあちらの
赤い花の咲いている
お寺の前を通りなよ
チュガよ
チュガよ
チュガ公よ
[#ここで字下げ終わり]
チュガ公は、その赤い花の咲いているお寺の前を歩むと、
[#ここから2字下げ]
あさっから
しっかりぬきい
てらんぬわ
またがいどもが
おだされにくる
[#ここで字下げ終わり]
房州人だけが知っている歌。それを茂太郎が寺の前でうたうと、寺から餓鬼共《がきども》が二三人、首を出して、やあい、やあい、牛小僧やあい、とはやし立てる。
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チュガよ
チュガよ
チュガ公よ
静かにあゆびなよ
そんなに急《せ》かずとも
おくれはしないよ
もうあとが二里だよ
近路《ちかみち》をせずと
館山大路《たてやまおおじ》を
真直ぐにあゆびなよ
そらそら
あちらから
村の小旦那《こだんな》が来る
よけて通しなよ
村の小旦那が来る
チュガよ
チュガよ
チュガ公よ
[#ここで字下げ終わり]
村の小旦那が、めかしこんで通りかかるのと、すれちがいになった時、茂太郎は、
[#ここ
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