。死んだとは思われない。ことに、あのイヤなおばさん、はちきれるほど脂《あぶら》たっぷりなおばさんが、もろくも魂《こん》に引かれ死んでしまった。あの神主さんこそは、その二人の陰気とけがれとを、極力払いのけようと、忠告もしたり、手きびしいお祓《はら》いもしたりしたのを、お雪はよく知っている。
 けがれは「気枯《けがれ》」である。陽気が枯れるところに罪悪が宿る、罪悪の宿るところに死が見舞う――とは、常々聞かされたあの神主さんのお説教の論法である。
 今のわたしは、その通りに、陽気が日に日に枯れて、陰気が時々刻々に加わってゆくのではないか――明るいところを厭うようになる時は、暗いのを好みはじめる時である。たまらない。お雪は目がくらくらとしました。

         十

 宇津木兵馬は、ひとり温泉の中に仰向けになって悠々《ゆうゆう》と浸って、恍然《うっとり》と物を考えているところへ、不意に後光がころげ込んで来ました。
 なんという賑々《にぎにぎ》しい人だろう。人間としては、たった一人が入り込んで来たのに過ぎないが、四方がパッと明るくなるほどに陽気になりました。
 兵馬も知らない、入って来た方
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