て考え込んだが、その際、もういっそう気になるのは、この楼の中で、ただ一人のあの娘の身の上だ。
まだ、よく打解けては話さないが親切な娘、どこやらに人を引きつける女性味のある娘。
仏頂寺のやからがあれをめがけて、からかい[#「からかい」に傍点]はじめでもしようものなら、思いやられるばかりだ。
どちらにしても、あの娘にだけは、仏頂寺、丸山の身辺へ、あまり近寄らないように注意をしておいた方がよい、よしよし、二階の東の角の座敷にいると聞いたから、出立の前にはひとつ、訪ねて、それとなしの警告を試みておこう。
そうしてみると、やっぱり、迷惑でも、自分があの二人を引きつれてこの温泉を出て行ってしまった方が、宿の者全体に禍《わざわ》いの種を残さぬようになるから、いっそ、そうしてしまおうか。まことに迷惑だ、あの二人の亡者を引張って歩くことは、迷惑千万な儀ではあるが、その迷惑を人に残さず、自分が背負って歩く方が、迷惑が徹底している。
仕方がない――一緒に出かけよう、兵馬はこんなふうにも決心を改め、いずれ万事は明日という心構えです。
その覚悟で兵馬は、白骨の温泉も今日限り、明日は、また行方定めぬ旅
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