燵《こたつ》に火のない時は、他の部屋のそれも同じように心配して、冬籠《ふゆごも》りの空気を、いくらかでも暖かいものにしてやりたいというような心づくしは、持って生れたこの人の親切気ですから、どうすることもできません。
 今も、十能の中に、かんかんとおこった炭火をたくさんに盛って、それを後生大事《ごしょうだいじ》に抱えながら、二階の梯子《はしご》を上りにかかりました。そうして二階のいちばん手近いところの部屋、つまり宇津木兵馬の座敷のところへ来て、ちょっとしなをして、様子を見た上で、誰もいないと知りつつ中へ入って行きました。
 今では、誰もいないどの座敷へも、相当の遠慮無しに出入りすることが、自分の特権のようにもなっていると思います。つまり、知らず識《し》らず、この宿屋全体の主婦であるという実際と、気位を、いつのまにか、事情がお雪に与えてしまったようなものです。
 兵馬の留守の間に、お雪はよく炭を生け替えて、新しい炭火をさしこみ、灰をならしておいて、それから余った炭を、火のしの上の炭火に加えて、そうして、暫く、うっとりとわが物のように、その炬燵に手を差しこんで考え込んでいました。
 そうする
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