りにうなだれ、お銀様は穴のあくほどに火の色を見つめているが、最初のあの瞬間にほとばしり出した涙も、今になっては、すっかり乾いてしまって、冷笑気分が豊かです。ただ夕陽のような火の色だけが、二人の坐像を、紅と黒とにかっきりと描き出していることは、以前と少しも変りません。
しかし、本来ここに作りつけてあったわけではなく、尻から根が生えたわけでもありませんから、早晩は動き出さなければならぬ運命にあるものです。
どちらが先ということなく身を起すと、二人の影法師が原っぱの上に、火災の余光を浴びて、影を引いて動き出しました。
ようやくにして被害地のところまで来て見ると、それは申すまでもなく戦場同様の有様であります。消防に出陣した人のすべては、まだ一人も退却したものがないようです。
何事でしょう、火はもう鎮《しず》まったのに、人の面色《かおいろ》にまだ険悪の色が消え失せないのは。
険悪ではない、不安の憂色です。憂えの色が、火の光と、働きの疲労に彩《いろど》られて、それで険悪に見ゆるのでした。
しかし、険悪にせよ、不安にせよ、漲《みなぎ》り溢《あふ》れている人々の面《かお》の憂色は、拭うこと
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