《こうぎょく》のように赤く見えました。
「助かりませんか」
「もう、駄目でしょうよ」
「ああ、怖ろしい音がします」
「でも、大切なものは、みんな取り出してしまったでしょうから、安心です」
「あのお文庫倉へは火が移りませんでした? あの中には、私が聞いてさえ惜しいものがたくさんございます」
「あれは大丈夫、目塗《めぬり》が届いているから」
「あなたのお屋敷は?」
「もう焼けてしまっているでしょう、母屋《おもや》へ移る前に、焼け落ちたかも知れません」
「それでは、あなたのお屋敷へ、一番先に火が廻ったのですね」
「え」
「もしや、あなたのお部屋が、その火元ではありませんか」
と弁信が後ろを振向きました。この時お銀様は、弁信とは一間ほど離れて立っていたのでしたが、
「そうかも知れません」
「それで、お嬢様、誰よりも先にその火を見つけたのは、あなたではございませんでした?」
「ええ、そうなのよ」
「その時、あなたはなぜ、人を呼んで消し止めることをなさらないで、こんな遠くまで逃げて来ておしまいになりましたか、あなたにも似合わないことではありませんか」
弁信は、火の方に面《おもて》を向けながらこう
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