込みをつけました。
「肛門から出血もしていないし、手足も硬直しているというわけではない、水は飲んでいるが、そう多分のことはない、多分のことはないが、それを吐かせきってしまうのが急務だと考える」
こう考えたものでしたから、米友をして、この溺死人の両足を肩にかけて、充分に身をかがめさせて、二十間ほど走らせました。そこで溺死人が、飲んだ限りの水をブクブクと吐きつくしてしまった時、米友が、また以前の場所に立戻った時は、死人は立派に生き返っておりました。
その一方、道庵は土地の人を指図して、河原の砂の上に火をたいて、暖かくしておいて、その上に被害者を寝かせて、なお砂を火であぶらせて、その熱いのを、別府の浜の砂湯でするように、被害者の五体の上へ、眼と口だけを残して覆いかけました。
そうして、一ぷくしている間に釣台が出来たものですから、すっかり元気を回復した被害者を、ともかくそれに載せて、最寄《もよ》りの人家まで運ばせることにしました。
誰も、この時の道庵の扱いぶりの洒々落々《しゃしゃらくらく》として、手に入り過ぎて、人を食った振舞を見て、餅屋は餅屋だと思わぬ者はありません。
米友は、道庵
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