そこで男が答える、
「はい、お恥かしい話でございますが、娘を三両で売りまして、馬を四両で買いましたのでございます」
「なあーんのこった」
 そこで道庵が、あいた口がふさがらずに、呆《あき》れ返ってしまいました。
「申しわけがございません」
 道庵に対して申しわけがないようにあやまるのを、道庵が、いよいようんざりした声で、
「お前さん、そんならそれと、疾《とっ》くに打明けて言いなさればいいにさ」
「つまらないことをお話し申し上げて、よけいな御心配をかけてあいすみませんことでございました」
「よけいな御心配じゃねえさ、三両だっていうじゃないか、三両なら三両のように、はな[#「はな」に傍点]からそうおっしゃって下されば、道庵だって、これほど心配はしやあしねえのさ」
「ほんとうに相済みません」
「済むも、済まないもありゃしないよ、第一お前、娘を三両で売って、馬を四両で買うなんて、馬の方が一両高いじゃねえか、そんな値段てあるもんじゃねえ」
「それでも一両は、どうやら掻《か》きあつめて、国から持って参ったもんでございますから……それでどうやら」
「それを言ってるんじゃない。まあまあなんにしても
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