う》として煙草をのみにかかりました。
「はい」
「お前、そのお松さんという人と懇意なら、どういうわけで、どこから、こんな絵馬を持っておいでなすったか、それを聞いてみるといい。まあ、ごらん……」
七兵衛は今更めかしく、絵馬をとり上げて、裂けたのをピタリと一枚に食い合わせて、与八の前へ突きつける。
「人の物を盗《と》ると……十両からこうなるんだぜ、九両二分まではいいが、十両からになると、どっちみち、こうなる運命はのがれられねえんだ、間男《まおとこ》と盗人《ぬすっと》は、首の落ちる仕事だよ」
「まあ、お茶をもう一つ、おあがんなさいましよ」
と、与八が熱いお茶の二杯目を七兵衛にすすめると、
「こりゃどうも御馳走さま」
「ここにたらし[#「たらし」に傍点]餅《もち》がある、よろしかあ、おあがんなさいまし」
与八は、傍《かたえ》のほうろくの中にあったたらし[#「たらし」に傍点]餅をとり出して、お盆の上に載せると、
「どうも済みませんねえ」
七兵衛は与八のもてなしぶりを、ようやく不思議な色でながめました。
どうも少し変っている男だと見たのでしょう。第一、もう疾《と》うに許されている首の縄が、
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