て、それから仕事にかかろうと、片隅の方に置いていた行燈に、さぐり足で近寄ろうとして物につまずきました。
 なにかしらん。思いがけないところで、物につまずくと、そのハズミでバリバリとその物を踏み裂いてしまった音がしたので、与八も狼狽《ろうばい》して手さぐりにして見ると、相応の四角な薄手のものを包んだ風呂敷包です。
 はて、こんなものをここへ、自分は置いといたはずはないのだが、何か知らん。どうした間違いか知らん、今の足ざわりと、物音では、自分が、この中のものを踏み砕いてしまったことは確かである。はて、大事なものであってくれなければいいが……
 そこで、与八は歩き直して、ようやく行燈に火をつけて、そこで今の踏み砕いたものを見ると、いつも、お松さんが持ってあるく風呂敷には違いない。では、お松さんがここへ置いといたのだ。それを自分が過《あやま》って踏み砕いてしまったのだ。中は何だろう、済まないことをした、どうも済まないことをした、と与八は一層の心配をはじめました。
 包み方が簡単であったために、その一端が風呂敷の外に露出しているから、中の品物の何物かを認めるのは骨が折れません。それはありふれた納
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