違いでもしているのだろう、わたしたちのすることを、切支丹《きりしたん》の宣伝でもするかのように誤解して、国のためにそれを憂えて、忠告に来てくれたのかも知れないが、自分としては何と返答をしていいかわからない、お松さんが帰ったら、二人で相談して、なるべくあの人たちの怒りをしずめるような御挨拶をして上げたいものだと、腹に考えながら、道場の片隅で藁打《わらう》ちをはじめました。この藁を打つのは、草鞋《わらじ》をつくる材料を和《やわ》らげるためであります。
その日、お松の帰りは夜になってしまいました。
「与八さん、今日は松茸《まつたけ》で夕飯を食べようじゃありませんか」
乳母《ばあや》は子供たちを寝かしつけているところですから、お松は松茸を料理して、与八と二人だけで夕飯を食べました。
「ねえ、与八さん、もう、あたし、あなたの親御さんたちをたずねるのを、止《や》めようかしらと思ってよ」
「そうですか」
「尋ねないでいた方がよかあないかしら、と思いつきました」
「それもそうかも知れませんね」
と与八は、どうでもいいような返事をしましたけれど、心のうちは、決してそうでないことをお松がよく知っていま
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