とお打ち下さいまし、あなた様に打たれるのは、あの人に打たれるのと違いまして、痛くございません、どうぞたんとお打ち下さいまし」
といって、いけずうずう[#「ずうずう」に傍点]しく金公が、またもその頭をお絹の前に突き出しました。
 お絹も、いよいよ呆《あき》れ返って、
「望みなら、いくらでも、ひっぱたいて上げるよ」
 かの女は、金公の頭を続けさまにぴしゃぴしゃとはたきました。
「痛くございません、あの人にたたかれるよりは、決して痛くございません」
 いい気になって、いくつでもたたかせているから、お絹も張合い抜けがして、こんな安っぽい頭を、いくつたたいてもたたきばえがしないと見切り、手荒く突き放してしまったものですから、ハズミを食って、三尺ばかりケシ飛んでしまいました。
「これは驚きました、これは恐れ入りやす」
 ケシ飛ばされたのをたて直して、いざりよって来たところを、お絹が火鉢の炭を火箸《ひばし》でつまみ、片手でゾロリとした羽織の袖口をひっぱって、
「さあ、お前のようなおっちょこちょいに、この羽織をくれた人は誰だか、言っておしまい、それとも、どこからちょろまか[#「ちょろまか」に傍点]した
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