お仕着《しきせ》を、ほかならぬ金公にかぶせてやる奴があるものか」
「ところが現在ごらんの通り、その外《ほか》ならぬ金公なるものが、こうしてゾロリとしたやつを着込んでいらっしゃるんだから争われませんや、あやかり[#「あやかり」に傍点]たいと思召《おぼしめ》しませんか」
 顎《あご》を撫でて、頭をぬっとお絹の前に突き出したものだから、お絹が、
「この野郎」
と言って、ピシャリと金公のそりたての頭をなぐりました。本来、なぐるつもりは無かったのでしょうが、ハズミがよかったと見えて、ちょっと振り上げた手が、程よく金公の突き出した頭と出逢《であ》ったものだから、そこでピシャリという、あつらえたような音がしたものと見えます。
「こいつは恐れ入りやした、これは驚き入りやした、暴力は恐れ入ります」
 金助が、けたたましい声を上げて、仰山《ぎょうさん》な驚き方をして、打たれた頭を、盛んに撫でさすりましたから、お絹が、
「もう一つ打《ぶ》って上げようか」
 手を振り上げたところが、金公、存外騒がず、
「結構でございますな、もう一つ打《ぶ》っていただきやしょう、打ってお腹《はら》が癒《い》えるものならば、たん
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